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第18-2話 彼女に聞け

مؤلف: 百舌巌
last update آخر تحديث: 2025-03-15 10:44:14

 クーカが手配されるのは構わないが、それに従って上へ下への大騒ぎになるのが困るのだ。出来れば静かに日本を退去してもらうのが一番有難いとさえ考えていた。

「何故、クーカに狙われたんですか?」

 先島は単刀直入に聞いた。駆け引きは必要ないと思ったのだ。

「クーカを知っているという事はマルボウじゃないという事か?」

 海老沢は先島をジロリと睨みつけてから言った。彼の感では先島が警察関係者までは分かっていたらしい。

 この手の人たちは嗅覚が発達しているのだ。

「ええ、違う種類の警察ですよ……」

 先島が名刺を渡した。自分の『会社』の電話番号だけが書かれたものだ。

「公安か……」

 海老沢は名刺を一瞥して突き返した。一目で判ったのは過去になにかしら関係があったという事だ。

 そして、名刺を付き返すのは関わり合いになるつもりが無いという意思表示だった。

「クーカの事を知ってどうする。 例え公安であろうと一介の警官にどうこう出来る相手じゃないぞ?」

 彼女の圧倒的な強さを知っている海老沢は、公権力の強さを認めようとはしないようだ。強さの基準が人に認められることならば、自分の目で見た事が基準になってしまうのはしょうがない事だろう。

「どんな力も受け付けない。 天馬に乗り戦場を駆け抜けて死を運ぶ女さ……」

 力が全てである彼の人生において、圧倒的な強さを持つ彼女の存在は憧れですらあるのだ。

「クーカが殺すのはクズだけだ。 ほっといても警察の邪魔にはならんよ」

 海老沢が吐き捨てるように言ってそっぽを向いた。よほど、警察の事が嫌いと見える。

「俺の正義は違う所に有る。 彼女が日本の行く末にジャマになるのなら排除するだけさ」

 これは本音だ。今までも邪魔になる人物が事故に遭うのを偶然見てもいる。そう、あくまでも偶然だ。

 彼は仕事をする基準に日本が安全であるかどうかを気にしている。安全でないのなら、そうなるように誘導するだけだ。安全がただであると誤解しているのは何も知らない普通市民だけだ。

 台所から入って海老沢の書斎を弄りまわして退散する予定だった。予定外に本人が来たので多少は慌ててしまっていた。

 先島の所属する部署は、多少の無茶は目を瞑ってくれるのだ。

 先島は先導するかのように台所から続く玄関ホールに出た。

(彼女はここに来て手酷い歓迎を受けたようだな……)

 階段の所に弾痕の
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